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◇ずっと会いたかった人
ゆうくんが慌てて家に入る様子を呆然と見ていた。
自分も家に入って隣を見る。
嘘だろ。
ずっと聞いていた声の主を今日抱いたなんて。
声を聞いて似てると思ったんだけど、まさかそんな事ある?
半年ほど前に偶然聞こえてきた男の気持ちよさそうな声。
あまりにもかわいくて、聞かずにはいられなかった。
いろいろな声を聞いてきたけど、ここまで唆られるのは初めてだった。
セックスしてる雰囲気は感じないから1人でやってるのかな。
それから時々聞こえてくる声を聞くようになった。
どんな子なんだろう。
会ってみたいと思うのになかなか会えない。
まさかインターホンを鳴らすわけにもいかないし。
もどかしさだけが募っていく。
俺がこの子を抱くことができたなら……
そして、あの声を直接聞く事ができたらいいのに。
まぁ、男を好きなんてことないだろうから、きっとこの夢は叶わない。
そう思っていたのに……。
その夢が今日叶っていたのだ。
もう一度抱きたい。
ずっと焦がれていた相手だとちゃんと認識して。
ゆうくんの顔を思い出す。
彼は連絡をくれるだろうか?
くれないならこっちからすればいい。
久しぶりに胸が踊った。
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