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◆日常が変化する
僕の日常は変わらない。
ハルさんにはあれから連絡をしていない。
画面の中のハルさんを見つめる。
はぁ、優しくてかっこよかったなー。
ピンポーン。
突然インターホンが鳴った。
画面を確認する。
エントランスからだったら人が映るのだがそうではなく、インターホンが鳴らされた事を知らせる画面だった。
ドア横のインターホンを押された?
誰だろう。
通話を押さずに、そっと玄関へ行ってドアスコープから様子を伺った。
その姿を見て叫びそうになった。
ハルさん!?
慌ててドアを開けた。
「ハルさん、どうしたんですか?」
「びっくりした
急に開くと思わなかった」
「すみません、ドアスコープから確認したんで」
「あぁ、なるほど
よかった、ゆうくんいて
はい、これあげる」
「なんですか?これ?」
「出張で大阪に行ってたからおみやげ」
「えっ、ありがとうございます」
なんてことだ、ハルさんからお土産をもらった。
「お菓子、よかったら食べて」
食べるのがもったいない。
箱は家宝にしよう。
「何かしてた?」
「あっ、いえ、ボーッとしてました」
まさかハルさんを見てましたなんて言えない。
「まぁ、お土産は口実なんだけど
連絡くれないから来ちゃった」
「だってハルさんと1回できただけでもう幸せすぎて、大満足だったんで……」
「入っていい?」
「あっ、はい
散らかってますけど」
「俺はゆうくんともう1回したいなって思ったんだけど、いや?」
「嫌なんて、そんな事あるはずないじゃないですか」
「じゃあしよっか」
「今からですか!?」
「うん」
ニッコリ笑うハルさん。
そんな心の準備が……。
「ゆうくん、ダメ?」
「あっ、お願いします」
そんなカッコいい顔で見つめられながら言われて断われるわけがない。
部屋の中に入ってもらうと抱きしめられた。
優しく何度もキスをされて、頭がフワフワとしてくる。
「今日もかわいい声聞かせてね
あっ、でも抑えめで」
難しいことをおっしゃる。
そして、また優しく抱いてもらった。
声は我慢できたか分からない。
気持ちよくて、夢中になってしまったから。
「やっぱりゆうくんってかわいい」
「ハルさんにかわいいって言ってもらえて嬉しいです」
「またしてくれる?」
「僕なんかとまたしてくれるんですか?」
「なんかなんて言わないの
かわいいんだから自信持てばいいのに」
「そんなことないです」
「まぁ、いいか
他の人にみつかったら嫌だし」
「なんですか?」
「なんでもない
ゆうくんってなんて名前なの?」
「ゆうやです」
「だからゆうくんか
学生?」
「はい、専門学校に通ってます」
「へー、何の?」
「インテリアです
昔から家具が好きで」
「部屋おしゃれだもんね」
「いやいや、全然です
ハルさんは?
ってこんなこと聞いていいんですかね?」
「別にいいよ
俺ははるきっていうの
営業の仕事してる」
はるきさん。
なるほど、だから人当たりがいいし話も上手なんだ。
「じゃあ明日休みだよね?」
「はい、土曜日は休みです」
「このまま泊まってもいい?
眠くて、帰るの面倒くさくなってきた」
なんと!?
ハルさんが僕の部屋に泊まる!!
幸運が続き過ぎて、このあとになにかあるんじゃないかと怖くなってくる。
「ダメ?」
「どうぞ、どうぞ
何もないんですけど」
「ありがと」
わーっ、なんて破壊力のある笑顔なの!?
かっこいい!!
心の中は大騒ぎだ。
「シャワー浴びますか?」
「そだね、一緒に浴びる?」
「そんなもったいないです」
「もったいない?」
「そのイベントは次回に取っておきます」
「イベント……?」
「あぁ、でも次があるのかな……」
「あるよ?
またしようって言ったじゃん」
「そうでした」
「じゃあ浴びさせてもらうね」
「どうぞ」
はっ、着替えはどうしよう。
タオルはきれいなのあったかな。
あたふたと用意を始めた。
人を泊めるなんて初めての経験だ。
それがあのハルさんだなんて……。
寝れるかな……。
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