◇君が好きだ

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◇君が好きだ

 最近忙しくてゆうくんに会えていない。  ゆうくんが不足している。  顔が見たい、声が聞きたい。  疲れた……。  帰宅して床に倒れ込む。  ゆうくんは何をしているんだろうか。  壁にもたれて目を閉じかけた俺の耳にゆうくんの声が聞こえて一気に目が覚めた。 「ンッ……」  は?何やってんの。  なんで1人で?  連絡してって言ったじゃん。  切なげに俺の名前を呼ぶ声が聞こえる。  また俺の動画見てんの?  画面の中の自分にどうしようもなく嫉妬する。  なかなかイケないみたいで、声が途切れた。  イライラして、玄関を出てゆうくんの部屋に向かった。  インターホンを鳴らしても出ない。  しつこく鳴らしているとドアが開いた。  待ってほしいと言われたけど、待てないと言って部屋に入った。  はぁ、やっぱりな。  1人でしていた痕跡が残ったまま。  気まずそうに目を伏せているゆうくんを問いただす。  なぜ誘ったと思うか聞いたらご近所だから?と返ってきた。  笑いそうになった。  なんの気もない子を誘うわけないのに。  本当に鈍い子だな。  今までも自分に向けられてる好意に気づいてなかっただけじゃないの?  まぁいい、おかげで彼の初めてをもらえたんだから。  ゆうくんが好きだと告げるとものすごく慌てふためいた後に顔が赤くなった。  畳み掛けるように好きか嫌いか聞くと好きですと返ってきた。  まぁ嫌われてはないと思ったから聞いたんだけど。  付き合うことを受け入れてもらえて安心する。  無理やり感は否めないし、好きの重さは違うかもしれないけれど。  ゆうくんにまずは体から教え込もうと金曜日にホテルへ誘った  しっかりと体感してもらうから。  イケていなかったゆうくんを優しく抱いてあげる。  かわいい声で喘ぐゆうくん。  誰にも聞かせたくないから程々にしたいのに、俺の欲はおさまらない。  散々いかせた後に、俺もゆうくんの中に精を吐き出した。  ゆうくんがこの期に及んでまた動画の事を聞いてきた。  全部消すと言うとショックを受けた。  その姿にショックを受ける。  とりあえずデータをあげると伝えると喜んだ。  いいけどさ、俺はここにいるんだけどね。  いつか俺自身のことを本気で好きになってくれるだろうか。    最初に撮った動画の事を聞かれた。  誰にも見せるわけがない。  こんなにかわいい姿を見るのは俺だけでいい。  特別なものだと言うとまた赤くなった。  反応がかわいすぎる。  ゆうくんと離れたくない。  つい本音がこぼれ落ちた。  明日は昼からだと聞いた俺は、じゃあもうちょっと堪能しようとゆうくんに覆いかぶさる。  戸惑うゆうくんを無視して、また襲いかかった。  ごめんね、やめてあげられなくて。  好きだから、もっともっと俺を感じてほしいから。  ゆうくんの体に跡を刻みまくって、もう無理だというゆうくんの奥まで挿れて俺の欲を全部吐き出した。  涙を浮かべるゆうくんにそっと口づける。 「ごめん、またやってしまった」  「いい、ハルさんのこと好きだから  いっぱいしてもらえて嬉しい」  ここにきてそんな事言う?  どこまで俺を翻弄したら気が済むんだろう。 「俺の事ほんとに好きなの?」 「うん、好きだよ」 「憧れじゃなくて?」 「そうじゃなくて、なんていうか……  ハルさんと同じ気持ちなんだけど  伝わってる?」  顔を赤くしながら懸命に伝えてくれる。  俺と同じ……。 「ありがとう」  思いっきり抱きしめた。 「ハルさん、苦しいよ」 「ごめん、嬉しくて」  体を離して、ゆうくんを見つめた。  ゆうくんも俺を見つめてくれる。  幸せな瞬間。 「シャワー浴びよっか?」 「一緒に?」 「一緒に」 「うん」  恥じらう顔がかわいくてどうにかなりそう。  シャワーを浴びると予想通り帰るのが嫌になった。 「朝起こさないようにするから、泊まってもいい?」 「いいよ  ギュッてしてくれる?」 「うん、こっち来て」  ゆうくんを抱きしめて眠りについた。  アラームの音で目を覚まし、慌てて止める。  ゆうくんが少し目を開けていた。 「ごめん、寝てて」 「ハルさん玄関まで見送ってから寝る」  朝から嬉しくてテンションが上がる。  このかわいい子が俺のものになった。  着てきた服を持って帰ろうしたら洗濯しとくよと言うからそのままにした。 「じゃあ借りてるやつ洗っとくから」 「うん  ハルさんお仕事頑張ってね」 「また夜来てもいい?」 「うん、待ってるね  行ってらっしゃい」  行きたくない。  けど行かないわけにはいかない。 「行ってきます」  ため息をついて、自分の部屋に戻った。    仕事が終わったらゆうくんに会える。  多分我慢できなくて今日もやっちゃうんだろうな。  なんであんなにかわいいんだろう。  さっきまで一緒にいたのにもう会いたくなる。  重症だな……。  もう寝たかな。  ダメだ、ゆうくんのことばっかり考えてたら遅刻する。  今はひとまず考えることをやめよう。  頭を振って、家を出る準備を始めた。  
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