67人が本棚に入れています
本棚に追加
現れた男3
目撃者は千葉駅中商店街の文具店の女性店員だった。
その日(博孝君が自殺したとされる前日の夜)千葉清栄高校の制服を着た背の高い男子が、以前、万年筆を購入した女子高生と共に来店したという。
その店員は以前、時間をかけて万年筆を選び購入した多良間絵里の事をよく覚えていた。
絵里が万年筆を購入した日、たまたまお店ではインク瓶の在庫を切らしていた。そこで数日で納品できるという事を伝え、インクカートリッジをサービスしたという。その時、絵里は「インク瓶の方がかっこいいから、また買いにきます」と言ったそうである。
博孝君の写真を見た店員が、思い出してくれたのだ。顔までは覚えていないが、清栄の制服を着た、とても背の高い子だったという。彼女は、自分も清栄の出身だから制服に見間違いは無いと言った。
富永は、博孝君の写真を持って、彼が通っていた千葉駅前の進学塾の近くの聞き込みをずっと続けていたのだと言う。
博孝君が自殺したとされる日の前日、彼は塾に行っていた。授業が終わって塾を出たのは夜八時十五分くらいで、これは複数の生徒が証言している。
その店員の話によると、絵里はそこで万年筆のインク瓶を購入。千葉清栄高校の制服を着た少年は父の日のプレゼントだと言ってパーカーのボールペンを購入したという。
最初のコメントを投稿しよう!