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「だが、頸部に絞扼痕はない・・・」と、刑事。
「何か枕のようなもので鼻と口を塞がれたのではないかな?」と、法医学者が推理する。
刑事が首を振って答える。
「いや、昨日の夜から雨が降っていた。このテラスに外から誰かが来たのなら、足跡が残るはずだ」
「では、犯人は家の中から?」
「家政婦や家族が、昨日の夜は誰も来ていないと証言している。先生、事故の可能性は?」
法医学者が答える。
「見る限り、気道に異物はないですね」
刑事が、テーブルのグラスを見て言った。
「誤嚥した氷が気道を閉塞した。そして氷は溶けて無くなった」
「なるほど・・・」
法医学者が、うなずいた。
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