50パーセントの恋

3/12

4人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
 だが、倉橋さんから告白してもらうのを、待っていていいのだろうか?  ここは先手を打って「好きだ!」と伝えるべきかと考えたときだった。 「私、ずっと好きな人がいてね」  と倉橋さんは言った。  ……ああ、告白が始まってしまった  こうなっては、僕が口を挟む余地はない。倉橋さんが不安に思わないように、一秒でも早く返事をすることにしよう。 「西宮君が好きなんだ」 「僕も好きだよ……えっ!?」 「えぇええっ!?」  今の発言だと、僕はとんでもないことをカミングアウトしているようだ。多様性に理解のある世の中になってきたが、この誤解はまずい。  まったく、何て勘違いだ!  告白されるのかと思ったら、実質フラれてるし……。  そんでもって、落ち込む暇もない。やれやれだぜ。  さあ、頑張れ佐藤光太郎(こうたろう)。男を見せる時だ!  僕は0.1秒で頭の中を整理し、口を開いた。 「あ、いや、違うよ。そういう意味じゃない。へー、全然知らなかったよ。倉橋さんが、西宮のことをねぇ。でも、あいつはいい奴だから、わかるかも……」
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加