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だが、倉橋さんから告白してもらうのを、待っていていいのだろうか?
ここは先手を打って「好きだ!」と伝えるべきかと考えたときだった。
「私、ずっと好きな人がいてね」
と倉橋さんは言った。
……ああ、告白が始まってしまった
こうなっては、僕が口を挟む余地はない。倉橋さんが不安に思わないように、一秒でも早く返事をすることにしよう。
「西宮君が好きなんだ」
「僕も好きだよ……えっ!?」
「えぇええっ!?」
今の発言だと、僕はとんでもないことをカミングアウトしているようだ。多様性に理解のある世の中になってきたが、この誤解はまずい。
まったく、何て勘違いだ!
告白されるのかと思ったら、実質フラれてるし……。
そんでもって、落ち込む暇もない。やれやれだぜ。
さあ、頑張れ佐藤光太郎。男を見せる時だ!
僕は0.1秒で頭の中を整理し、口を開いた。
「あ、いや、違うよ。そういう意味じゃない。へー、全然知らなかったよ。倉橋さんが、西宮のことをねぇ。でも、あいつはいい奴だから、わかるかも……」
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