50パーセントの恋

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 放課後になると、部屋に西宮を招いた。寮暮らしというのは、こういうときにちょうどいい。テレビの前に二人で肩を並べ、コントローラーを激しく操作する。  テレビ画面の中では、チャイナドレスの色っぽいお姉さんと軍人のおっさんが、熾烈なバトルをしていた。 「くっ、やるな」 「まだまだ」 「うわ、まじ! やられたー!」  僕の操作するチャイナドレスのお姉さんが勝利して「鍛錬が足りないわ!」と煽っている。ここまでの戦績は5勝5敗、まったくの互角だ。  僕たちの仲がいい理由として、お互い帰宅部の暇人であることと、ゲームの腕がほぼいっしょという部分があるかもしれない。 「西宮って好きな子いるの?」 「お、佐藤が恋バナなんて珍しいね。どうかした?」  西宮は笑って、逆に質問してきた。 「別に、たまには男子高校生らしい会話をしてみたくって」 「なるほどね。じゃあ、次の試合に負けた方が、好きな子を言うってのはどう?」 「オッケー」  多少話の流れがおかしくなってしまったが、勝てばいい。そうすれば、聞き出せる。ミッションコンプリートだ。  ……だが、待てよ。  わざと負けるってのは、ありじゃね?  僕が倉橋さんのことを好きって告白すれば、西宮は協力してくれるだろう。  こいつは、そういう奴だ。  ……でもそれは、倉橋さんへの裏切りだ。
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