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「くっそー、やられた!」
頭をかきむしっている西宮。
僕はこれ以上ないくらい真剣にゲームをプレイした。いつもと集中力が違う。十連コンボを完璧に決められたのは、初めてだったかもしれない。好きな子のためなら、実力以上の力を出せるってのは、本当なのかもな。
「それで、おまえは誰が好きなんだ?」
「好きな子って言われると正直微妙だけど、一番気になってる子って感じでいいかな?」
「うん、それでいい」
僕はドキドキしながら、西宮の言葉を待つ。うちのクラスの女子は19人。この中で倉橋さんを選ぶ確率はどのくらいあるだろうか。
西宮は社交的で性格がいいし、顔も整っていて男子女子に関わらず、色んな人と話している。誰が好きってのは、僕から見てもまったくわからない。ある意味、全員に公平に接している。
「倉橋さんかな」
「えっ!」
「図書委員でいっしょになってね。倉橋さんとは本の趣味が合うから、いっしょに話していて楽しい」
「なるほど、そうだったのか」
確かに、倉橋さんの西宮のことが好きでたまらないエピソードの中に、図書委員の話はあった気がした。
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