揺れるポピーに気持ちを重ねて

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 男女の友情って、成立しないらしい。 「俺、メグのことが好きなんだ」 「は?」  葛西恵、21歳。  親友だと思っていた男友達である大久保知幸に告白された瞬間である。 (ど、どうする……!?)  瞬時に脳内で二人の私が緊急会議を始める。    トモとはこの大学で知り合った。  友達期間は確かに長くない……が、それでも彼といるのは心地よく、まるで昔からずっと一緒に過ごしていたと錯覚するほど一気に親しくなった。 (きっと後にも先にもこんなに仲良くなれる人なんていないかもしれない) 『だからこそ友達という壁を超えるなんて!』  一人目の私がそう震える。  わかる。  その通りだ。 『じゃあ、断るの? 断った後、友達に戻れる保証なんてないのに?』  もう一人の私がそう質問する。  確かに。  そんなに都合よく今まで通り、なんてきっとない。 「メグ?」 「え!? あ、えっと……!」 「ごめん、驚かせたよな」  少しタレ目の彼の目尻が更に下がる。  悲しそうな、そしてどこか諦めたような表情をパッと笑顔で隠したトモにヒヤリとした。 『このまま行かせていいの?』
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