揺れるポピーに気持ちを重ねて

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 こんなところで今さら握手、なんてなんだかちぐはぐな気がしたが、それもなんだか私たちらしくて思わず小さく吹き出してしまう。  握ったトモの手がやたらと熱かったせいで、私の鼓動が更に速くなったのは想定外だが――……  そんな変化なら、きっと悪くなんてない。 (最初から全部上手くやろうなんてする必要ないもんね)  トモが雑草を抜いたからか、少しだけ花壇の土が見え、誰も世話していないだろうに逞しくも生きていた花が顔を出した。  勝手に花が育つように、私の心もきっと勝手に育つから。  ――だから、こちらこそよろしくね。
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