揺れるポピーに気持ちを重ねて

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『でも引き留めてどうするの?』 『取り返しがつかなくなっちゃうかも!』 (あぁっ、もう!)  二人の私が口々に騒ぎ煩くて堪らない。  どうしたらいいのかの答えも出ない。  わかるのは、友達ではいられなくなってしまったのだという事実だけ。 (受け入れても断っても友達じゃいられないなら) 「つ、付き合う!」 「え?」 「だから、付き合う!」  告白したのはトモなのに、唖然とした表情をするのは何故なのか。  けれど、彼を失うよりはずっといいから。  ――だから。   「これからもよろしく、ってことで」  こうして私は親友だと思っていた男友達の、彼女になった。 「メグ、この講義のノート取ってるか?」 「あー、どれ? ん、あるよ。あるある」  がさりと鞄からノートを取り出しトモに渡すと、慣れた様子でページを捲りだす。 「トモがノート借りるとか珍しいね。ノート取り忘れたの?」 「や、次はこの教授の講義取ろうと思ってさ。だから予習」 「予習!?」 「そ。授業の進め方とかわかれば、理解度もあがるからな」  さらりと告げられるその理由に愕然とする。
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