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どうしてこんなに意識の高いトモが私と友達なんてやっているのか――……と、そこまで考えてハッとした。
(違う、私彼女だった)
彼女、と意識すると少しまだむず痒い。
そんな私の本心を察しているのか、トモとの距離感は友達だった頃と何一つ変わっていなかった。
「メグ?」
「あ、ごめん。ちょっと考え事してた」
「駅前のカフェの新作スイーツのことだろ」
ははっと笑い飛ばすトモに釣られて私の頬も緩くなる。
こういう軽口も、付き合う前と何一つ変わらなくて……
「良かった、顔強張ってたから心配した」
「!」
ふわりと私の頬をトモの指先が撫でてドキリとする。
この距離感は――
(恋人の距離感……!)
そう意識したせいか、撫でられた頬が異常に熱い。
バクバクと速くなる心臓も苦しくて、いつも側にいたはずなのにどう接していたのかが思い出せなかった。
「わ、私、ちょっと飲み物買ってくる!」
「あ、ちょっ、メグ!?」
わたわたと立ち上がりトモをテラスに置いたまま自販機まで走ると、一人になったからかやっと一息。
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