揺れるポピーに気持ちを重ねて

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 久しぶりに酸素がちゃんと吸えたような気がして、なんだかホッとした。 「戻りたく、ないかも」  トモといるのは相変わらず楽しい。  けれど、友達だった頃のようにリラックスは出来なくて。  息が詰まるせいか、あんなに居心地が良かったはずのトモの近くがなんだか苦痛だと感じる。 「よろしく、って言ったのに」  失うくらいなら、と関係性を変えたが、その判断は間違っていたのかもしれない。  そう思うと、なんだか私を酷く落ち込ませた。  どんなに落ち込んで避けても、講義があればすぐに顔を合わせてしまうというのが大学生の難である。    出席さえしていれば単位を取るのが簡単と噂の講義をトモと揃って取っていた私は、さっき私が逃げ出したことに気付いているはずなのに平然と隣に座ろうとしているトモに苦笑しつつも少し安堵した。 (良かった、トモは普通だ)  いつも通り振る舞ってくれるトモにホッとしつつ、それでもトモの座っている右側がやたらと気になる。  普段からこんなに近くに座ってたっけ?  それとも恋人の距離感ってやつなのかな。
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