揺れるポピーに気持ちを重ねて

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 友達だった時はあんなに毎日楽しくて、一緒にいるのが心地よくて。  さっきみたいな軽口も、「何バカ言ってんの」なんて笑いながら流したり出来たのに。  バタバタと目的地なく走り、一目を避けて校舎裏の花壇の近くで止まる。  あまり手入れされていない花壇は雑草が生い茂っていたが、だからこそここには誰も立ち寄らないのだと安心してその場にしゃがみこみ膝に顔を埋めた。 「もうやだ」  トモが告白なんてしてこなかったら、今も私は彼の隣で気楽に笑っていたはずなのに。  こんなに苦しくて辛くなるなら、断れば良かった。  失いたくないって思ったのに、一緒にいるのが辛くなるなんて本当思ってなかったから。 「も、やめたい……、友達に戻りたいよ」 「それはダメ」 「!」  うじうじしている私の背後から突然声をかけてきたのは、走って追いかけてきたからか少し息を切らせているトモだった。   「な、なんで……」 「だって嬉しいから」  あっさりと教えられる答えに唖然とする。   (こんなに私が辛く苦しんでるのに、嬉しいから……!?)
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