ずっと側にいるからね

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 頻繁に連絡をくれていた山田さんも忙しいようで、電話どころかメールもない。  そういえばいつも賑やかな卯月くんの声も、少し大人びてきた睦月くんの声も聞かなくなったような気がする。  気にしながらもこちらから連絡することもなく、あっという間に月日が流れていった。  年が明けて久々に山田さんと同じエレベーターに乗り合わせた。  私も山田さんもお互いの変わり果てた姿に驚き、なかなか言葉が出ない。  私はやけどの跡に紫外線を当ててはいけないと言われ、帽子の日よけ布で顔を隠し、大きなサングラスで目を覆っている。  長男は二度目の骨折で幼稚園を休んでいるし、次男は手術を控えて顔色が悪い。  山田さんも腕と足を骨折したようで、杖をついてようやく歩ける状態で、以前の若々しさが消えていた。  卯月くんや睦月くんはと聞くと、自分のことをするのが精いっぱいで、昨年結婚された娘さんの家に預けていると言っていた。
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