ずっと側にいるからね

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 とりあえず今日のところは家に戻ろうということになったのだが、今度は家に戻る道がわからない。  確かに前にマンションの姿が見えるのだが、気がつくといつの間にか後ろにある。  何度向かってもその繰り返しで、私たちは途方に暮れた。  携帯を取り出してみたがアンテナが立っていない。  まだ私や山田さんはいいが、大きくなったとはいえ幼稚園の長男はさすがに疲れてきたようだ。  次男のいつも青白い顔も、ますます真っ白になってきている。  何とかして子供たちだけでも無事に家に帰らせたいのだが、方法がわからない。  結局、ハムスターの眠る公園に戻ってベンチに座って休むことになった。  座れるところがほかになかったのだが、すでにあたりは暗くなり始めている。  次男はベビーカーの上で眠り、長男はベンチに横になって私の膝を枕に眠った。
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