ずっと側にいるからね

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「僕にもジュースちょうだい」  長男は私の質問に答えるよりも、机の上の飲み物と食べ物の方が気になるらしい。  あまりにも怖くて普段は飲まないお酒で気を紛らわしていたのだが、甘い匂いのするお酒ばかりなのでジュースだと思ったようだ。 「これはお酒って言って子供は飲めないのよ。まっててジュースを出してあげるから」  今日は特別、いつもはダメと言い聞かせてから、オレンジジュースをコップに注いだ。  嬉しそうにジュースを一口飲んだ後、長男は話し始めたが、小さな子の話なので要領を得ず、内容がわかるまでに少し時間がかかった。 「つまり、ケガする前にはいつも声が聞こえてきて、ハムスターの姿も見えるってこと?」   長男はお菓子に手を伸ばしながら、ウンウンうなずいている。  私は恐怖に震えた。  やはり、ハムスターがわざとケガをさせようとしてるのだ。
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