ずっと側にいるからね

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 今までもハムスターは声をかけ続けていたらしいが、私たちは怖がりすぎて聞こえても、脳が拒否する状態だったようだ。  ハムスターの声を長男だけが聞き続けられていたのは、彼に恐怖心がなかったからかもしれない。  やっと話すことができたハムスターは、ちっとも私たちを恨んでいなかった。  雨の中で苦しみはしたが、わざとでないからしょうがないとハムスターは言った。  卯月くんがかわいがってくれたことも、山田さんが丁寧に埋葬してくれたこともうれしくて、恨むなんて考えたこともないという。  一瞬ほっとしたが、だとしたらなぜこんなにもケガが多いのか?  神社に行けなかったことや、ブレーカーが落ちたことを考えると、もしかしたら騙されてるかもと警戒する。  察しのいいハムスターが、恨んでいるのは僕じゃないですと言いだした。  救おうとしただけらしいが、怪しい宗教団体みたいで信用できない。
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