ずっと側にいるからね

　ある日、私は次男を抱いて廊下を行ったり来たりしていた。
　長男はお昼寝中なのだが、敏感な次男は昨日の大雨のせいで、ずっと機嫌が悪く眠ってくれない。
　長男を起こさないように部屋を出てきたが、遠くに行くわけにもいかずマンション内をうろちょろしていた。

　次男は昨晩もほとんど眠れていないので、歩いているとウトウトし始めるのだが、止まると途端にぐずり始めるのだ。
　たとえ歩いて背中をポンポンしていても、長男の様子をベビーモニターで確認しながらだと、自分の方を見てとばかりに泣き始める。
　そんな時、私は誰もいないはずの廊下で、助けてという声を聞いた気がした。

　一瞬自分の心の声かと思った。
　それぐらい疲れていたのだ。
　我が家の夫も長期出張中で留守が多く、私はワンオペ育児にくたくただった。
　山田さんはずっとひとりで子育てだったと言っていたのを思い出し、改めて尊敬の念がわいてきた。