ずっと側にいるからね

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 だから気持ちはわかるし、微笑ましく思ったが、放水口は飼うには向いていない。  ハムスターがかわいそうなので秘密にはできず、私は山田さんに連絡した。  すでにそのハムスターが、生きていないことに気づきもせずに。  やはり卯月くんのペットだったようだ。  前日の大雨が放水口に入り込んで、濡れたまま寒さで震えて亡くなったようだ。  動かなかったハムスターの姿を思い胸が締め付けられた。  それから私は、眠ろうとすると助けてという声が聞こえるような気がして、眠れなくなった。  あれから2カ月が経つが、山田さんと顔を合わせていない。  長男が幼稚園の遊具から落ちて骨折をしたり、健康だったはずの次男に、大きな病気が見つかり緊急入院したりと、余裕がなかったのだ。
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