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「腹へったなぁ・・・疲れたなぁ・・・」
ビーグルの野良犬のキィオは、ダニの集った垂れ下がった耳を前足の爪でポリポリと掻きながら、痩せすぎて骨まで浮いた薄汚い体を、裏町の片隅に横たえた。
「しかし・・・自分って、何時までこんな生活してるんだろ。
かれこれ・・・あれ?何時だっけ??????」
野良犬のキィオは、昨日も一昨日もその前の記憶さえ忘れる位、1日1日をのんべんだらりとマイペースに過ごし、正にその日暮らし。
空に太陽がある限り、地面に大地がある限り。
無限の自由を信じるだけが、野良犬のキィオの生き甲斐にしていた。
しかし、ここ1ヶ月野良犬のキィオは飲まず食わずの腹ペコ。
身体が飢えでフラフラになり、何とか気合いで動いている状態だ。
ぐるるるるる~~~~・・・
きゅるるるる~~~~・・・
「腹へった・・・腹へった・・・ん?」
野良犬のキィオの鼻が、何か美味しいものの匂いを微かに捉えた。
くんかくんかくんかくんかくんか。
キィオは鼻の穴を孕ませて前へ突き出すと、くんかくんかとその美味しい匂いのする場所へフラフラと歩いていった。
くんかくんかくんかくんかくんかくんかくんかくんかくんかくんか・・・
すると、
「うわーーーーー!!ご馳走だぁーーーーー!!」
それは、生ゴミ置き場に大量に捨ててあった賞味期限切れの弁当だった。
野良犬のキィオの口から涎がダラダラと滝のように流れ、やがて鉄砲水のように大量に吹き出してきた。
「じゃあ、いっただっきまーーーーー・・・」
ばさばさばさばさばさばさ・・・!!
「ん!?空の彼方から気配が・・・?!」
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