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「って・・・君!!ホントに『キィオ』というカラスなのかよ?!」
「そうだお?自分の名前は『キィオ』だお?それがどうしたの?」
「だって・・・自分は、かつてはカラスだったんだよ?!
確か、カラスの日々が嫌になってふてくされてる時に目の前に謎のドードーが現れて、ドードーの不可思議な魔法で、自分はこのビーグル犬の身体を手に入れたんだよ?!
なのに、何でここにカラスの身の自分が居るんだよ?!
カラスの元からの身は焼却炉の中で・・・」
「何訳の解らない事言ってるの?自分はずーーーっと、カラスのキィオだったんだよ?!
たまたま君が『キィオ』という名前の犬で、同じ『キィオ』だから頭がイカれちゃったの?!」
「イカれてねぇよ!!もう訳わかんねぇーーーーー!!
・・・あっそうだっ!!」
野良犬のキィオは、名案が閃いた。
「カラスの方のキィオよ、本当に君がカラスのキィオかテストしてみるぜ?!」
「テスト?」
カラスのキィオは首を傾げた。
「今から、自分が『カラスのキィオ』だった記憶の中から、生涯で起きた事柄について覚えてるか言ってみる。」
「どうぞどうぞ?」
「じゃあ、君は群れの中でモタモタと生ゴミ集めをしていたら他の仲間が人間に捕まって、責任取られて群れから追放されたの覚えてる?」
「いえすっ!」
「じゃあ次。やっぱり他の群れで生ゴミ集めのミスだらけで、追放寸前のとこを他の仲間にフォローされてもやはりミスを続けて結局群れから追放されたの覚えてる?」
「いえーす。」
「次。「リーダーカラス」になりたいか?と他のカラスの口車に乗せられて、地獄のリーダーカラストレーニングをやらされて、精神がズタズタになったの覚えてる?」
「いえす。」
「次行くよ。君が拾った宝物を他のカラスに取られて、「店の食い物盗めたら返してやる!」と言われて命賭けで人間の店から盗めて持ってきたら、宝物が既に破壊されたのを覚えてる?」
「いえす・・・」
「更に行くよ。カラスとして生きていくのが嫌で、ハトやムクドリに一緒に生きたいと打診して迷惑をかけたのを覚えてる?」
「いえ・・・す・・・」
カラスのキィオはしょぼくれて、すっかりいじけてしまった。
「ああ、やっぱり君はカラスのキィオだ。」
「あんまりだよ・・・自分の過去のトラウマを抉り出すなんて・・・」
「まあ、気になさんな。こんな犬になった自分の『キィオ』だって自転車に轢かれそうになったり、赤い犬と友達になりかけたのに事故で失ったり、3匹の猫にいじめられたり。他の野良犬や野良猫と肝試しにも行ったぞ?」
「ああ、犬になっても大変なんだな!!カラスの時も酷く大変だったけど!!」
気を取り直したカラスのキィオは、犬のキィオの方を向いて話しかけてきた。
「う、うん・・・」
野良犬のキィオは、軽く会釈をしたとたんカラスのキィオは叫んだ。
「というわけでぇーーー!!」
「?!」
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