あとがき

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あとがき

 ここまでお読みいただき、ありがとうございます。  終始暗くて、不快なシーンもあったかと思いますが、懲りずにお付き合い下さってありがとうございました。  このお話のタイトルを考える時、最初に友人に読んでもらった時の感想として「葉山は激情家なのかな」という言葉を思い出し、彼そのものを表す言葉として「激情」としました。  本編続編の補足として書いたこのお話ですが、恥ずかしながら、初めて執筆中に感情移入し過ぎて葉山の「俺の、友達やったんやっ……」って最後のセリフを書きながら涙がちょちょ切れてしまいました…(恥ずかしすぎるし、死語だし)  葉山に関しては、実は本作を書くまで全くその背景や思いを掘り下げてこなかったので、本編続編を書いてる時点では、単なるホモフォビアのイメージでした。  今回葉山に寄り添ってみて、実はそうでもないなってことが分かり、まあほんと人間て難しくて面倒くさい生き物だなあと改めて…。  葉山はヒールか。  この点については、少なくとも尊は、葉山によってゲイ差別を受けた訳で、心無い言動に耐え続けた結果、自己肯定感だだ下がりで、大人になっても心に傷跡が残ってしまいました。  虐めって、受けた側はずっと覚えてます。  子供の頃にされたことでも、ずっと覚えているものです。  尊は、もう傷付きたくないという思いが大人になっても無意識下にあるため、事あるごとに頭では大義名分を働かせていますが、本能的にはリスク回避=自己防衛に走った結果、続編のような展開に陥ってしまいます。  リスクを恐れるなら最初から薫と付き合うなよと言いたいところだけど、押しに弱いから自分の思うように行動が伴わないのも尊らしいというか😂  尊のネガティブな性格を作り上げた要素の一つに、葉山が関わってしまったという意味では、やはり理由はどうあれ、葉山はヒールだったと思います。    ただ、葉山をフォローするならば、私自身、多かれ少なかれ葉山みたいな一面があります。  友達との距離感って些細なことで崩れるし、期待して勝手に傷付いて、被害者意識を持つことで傷付いた自分を守ろうとする。  そんな小さな経験を、最大限膨らませて彼に詰め込みました。  尊は嫌われていた訳ではなく、とても愛されてたんですよね。  愛情と憎しみは表裏一体とはまさにこういうことを言うんでしょうか。    それと、いただいたペコメの中で、尊がかなり歳の離れた男と関係を持ってしまった理由について触れて下さった方々がいらっしゃったのですが、お察しのとおり、父親にありのままの自分をさらけ出せないジレンマが影響しています。  和泉に受け入れてもらうことで、心の安定を手にした尊と、ただ身体の関係を求めた和泉。  和泉の(きたな)さに気付けなかったところが当時の尊の若さかなと…。  今の尊ならその穢さが分かるだろうし、そもそも不倫したことについて葉山に反対されたこと、尊の中ではとっくの昔に消化してると思います。  そのうち、また昔みたいに笑い合えるといいなと願いながら──。  長々と拙作のことを恥ずかしげもなく語ってしまいましたが、そろそろこの辺で失礼したいと思います。   またいつか、お会いできましたら幸いです。                   令和5年7月 カズ      
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