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愛した香り
あの時も
私がひとりで帰ると
一度だけ言った時も
あなたは私を呼んだのか
私は行かなかったのか
行けなかったのか
引き返せばよかったのか…
たくさんのことが
すれ違っているのかもしれないし
平行線なのかもしれない
でもやっぱり
線も何もないのかもしれない
もうすべてを
知ることはないのだろうか
また知る時が
くるのだろうか
現世で
来世で
迷宮の果てで…
あなたが最後まで
何も言わなかったのは
何も言うことがないのか
隠したのか
私が今はもう
何も言えないのは
言うことがなくなったのか
閉ざしたのか
あなたは、羽ばたき
私も、きっと羽ばたく
同じように飛んでいなければ
もう会えなくなってしまうから
あなたにいつかまた
素直になれる時がくるのかな…
あなたは、右に進み
私は、左に進む
その距離は
どんどん離れていく
同じ方向には行けない
あなたは、笑い
私は、微笑んだ
あなたからは
懐かしい香りがした
それは
今の私達が生まれる
もっとずっと前に
愛し合った香りだった…
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