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どんな大学なのかまでは分からないけれど、努力の大嫌いな俺からしたら本当に美希はすごいと心から尊敬する。それと同時に、ますます俺の手の届かない存在になってしまったことを痛感した。
しかし翌日、俺にとってまさかの展開が訪れた。
何を思ったのか、担任の先生が席替えを宣言したのだ。往年の名曲が俺の頭の中をリフレインする。そう、千葉美希の隣を俺は狙っているのだ。
そして、今こそ俺は世界中に伝えたい。願いとは叶うものだと。そう、今までは何人ものクラスメートの背中越しに見ていた美希の姿が、手を伸ばせば届く距離、俺の隣にあるのだ。
「馬込くん、よろしくね」
「あっ、うん」
美希の"よろしくね"のねの後ろにハートマークを書き足したい。ああ、君のその笑顔を俺だけのものにしたい。君のよろしくねハートマーク付きを俺だけのものにしたい。
「馬込、馬込公平、聞こえているか?」
「へっ?」
ヤバい、朝行われた席替えの余韻をそのまま授業に持ち込んで妄想の世界に入っていた。
でも、隣を見れば美希の美しい横顔。俺の隣の席に美希がいる、これは間違いなく現実だ。
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