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「はぁぁぁ」
他のクラスメートの背中や頭の隙間から、ポニーテールにしている彼女のうなじが見える。
別にうなじにときめいたりはしないけれど、彼女の全てに俺の心のほとんどは持っていかれている。こういうのを、メロメロというのだろう。
千葉美希さん、心の底から大好きです。ハートハートハート。ああ、想像の中なら、いくらでも告白できるのに、現実はそう簡単ではないんだよな。
「馬込、馬込公平、聞こえているか?」
「へっ?」
「まったく、これ以上落ちようのない成績だからって、授業はちゃんと受けろよ」
先生のそんな嫌味に、クラス中からクスクスという笑い声が聞こえてくる。チラッと見えた美希も笑っているように見える。
ああ、またポイント下がっちゃったよ。
今どき、先生がチョーク投げたり、竹刀で頭を叩いたりはないが、言葉の暴力はチラホラ。とは言っても、ボーッとしていた俺が悪いので素直に反省するしかない。
休み時間になると、俺の席の周りに二人のクラスメートが近づいてきた。
「もう成績で誰にも抜かれることのない馬込くん、だからって授業中にボーッとしていたらダメだよぉ」
「そうそう、どうせまた千葉のこと見てイヤラシイ妄想でもしていたんだろ」
「してねえし」
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