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『いや、公平にはすべてを話しておくよ。僕と会話できるなんて、きっとこの席に地縛霊みたく縛られている僕を救ってくれる存在なのかもしれない』
耕平を救う存在?
『公平が想像しているとおり、僕は自殺したんだ。高校三年生になって、初めて彼女ができたんだ。でも、医学部を目指していたこともあって、ちょうど受験に本腰入れないといけない時期でもあったからさ、親に彼女との交際をめちゃくちゃ反対されて、そのショックで精神的に参っちゃって。それから成績も低迷しちゃって女に現を抜かすからだって両親に責められて。それで……』
そんなことがあったんだ。
『それで、気がついたらこの席にいたんだ。でも、今こうして公平と会話できている。そして、なぜだか分からないけれど、公平が隣の席の千葉美希ちゃんを好きなことも知っている』
俺の心の中、耕平には駄々洩れってことか、恥ずかしくって仕方ないな。
『それで僕思ったんだ。なぜか会話ができる、僕と同じ名前の公平の恋愛を成就させつつ、公平を医学部に合格させられれば、僕のこの世の未練はなくなって、成仏できるんじゃないかって』
じゃあ、耕平は俺の恋愛や勉強をサポートして、俺が美希とうまくいって、しかも医学部に合格できるようなお手伝いをしてくれるってこと?
『そうそう、理解が早くて助かるよ』
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