第1章

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第1章

今から10年以上前の話。暇を持て余していた友達とのエピソード。  俺は仲良しの友達、「水島くん」と二人で、千葉市緑区にある「昭和の森」という、世界的にクロスカントリーで有名な公園を訪れていた。  季節は、ゴールデンウイーク明けの少し曇りがかった日曜日。梅雨が近い。それは、ムシムシした体感湿度と、汗が額からうっすらと出てくるのでわかった。    「山中くん、その千葉市の標高最高地点というところに行ってみたい」  その一言から、二人の今回のエピソードが始まった。  千葉市の標高最高地点は、この「昭和の森」にあるのだ。101メートル。高い。千葉市の平均標高が21メートルなので、この場所は、確かに都会にある政令市にしてみれば、高い標高の部類にはいると想われる。  何と、九十九里海岸、遠くにわずかに太平洋が一望できる。  「へー、千葉市にもこんなに標高の高い、見晴らしいのいいところがあったのだ」  あまりの眺望のよさと断崖絶壁の上にある展望台に、水島くんは大変驚いていた。  おまけにゴールデンウイークは終わったのに、つつじが咲きほこり、緑の広大な芝生がメチャクチャ綺麗。  新緑の季節の昭和の森は最高で、鳥はさえずり、老若男女問わずこの公園で、皆さん疲れた心を自然エネルギーで癒すように、それぞれに初夏の公園を満喫しまくっていた。
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