雨により、晴れ。

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 1  二度寝したい欲求をなんとか振り切ったぼくはまず、ベッドの近くにある窓に歩み寄ってカーテンを開いた。すると、さっという軽快な音がそのまま効果音ででもあったかのように、薄暗い空間へ飛び込んできた太陽の鋭い光がぼくの目を刺した。 「うっ……」  反射的にカエルみたいなうめきがこぼれる。視界が白く染まり、その中心から七色のヘビがはい出てくるような映像が、閉じたまぶたに描かれた。  しばらく太陽の奇襲にし、ようやく視界が元に戻ったところで、ぼくは二階の東面に用意された自室の窓下に広がる小さな庭へ、目を落とした。  そこには思った通り、いくつもの水たまりができていた。どれもが快晴の青を反射して輝いており、まるで地面にうがたれた穴から空へ行けるのではないかと錯覚しそうになる。ぼくは小さく拳を作った。 「きっと、だいじょうぶなはず」  そう、ひとり呟くことで、胸の中で期待とツノを突き合わせていた不安が少し薄らぐのを感じた。ひょっとするとぼくを惑わせようとした『声』は、意地悪でもからかいでもなく、たんにぼくを試そうとして発せられていたのかもしれない。  最後まで自らの思考を信じられるのか、と。  なんだ、だったら不安がる必要なんてないんじゃないか。  九割の期待を抱えたぼくはできもしない口笛を吹いて、足取り軽く部屋を後にした。
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