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第一話 魔法粉の見分け方
***
ぐるぐる、ぐるぐる。
わたしよりも大きくな、透明な半球の釜の中。
ぐるぐる、ぐるぐる。
魔法でできた粒が大きくなっていく。
その名も『魔法星』。今日は、赤色の魔法星を育てる日。
きらきら、きらきら。
ルビーみたいな鮮やかな光が舞う様子は、何回見てもうっとりしてしまう。
「……きれい」
見惚れていると、工房に誰かの入ってくる気配を感じた。
「要領が悪い」
冷水みたいな容赦ない声が降ってきた。
肩越しに振り向くと、帆布のエプロンを身に着けた細身の青年がわたしを睨みつけていた。
「どけ」
「きゃっ」
無理やり立ち位置を奪われてよろめきつつ、なんとか踏みとどまる。
灰色の髪に、深い緑色の瞳。
このひとは兄弟子のロンさん。何かにつけて、わたしに突っかかってくる。
「こうやった方が早いんだよ」
ただ、作業は、めちゃくちゃ早い。
ロンさんが釜に魔法粉を投入する。それから両手を翳した。
『光よ、光。炎を纏う星になれ』
ロンさんの手のひらが淡く光る。
魔法星は魔法粉をまといながら、釜の中で踊る。
「すご……」
わたしがやるより倍のスピードで、赤色の魔法星は大きくなった。
釜を止めて、ロンさんはわたしを見下ろした。
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