第一話 魔法粉の見分け方

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「いつも言ってるだろう。花火師は男にしかできない仕事なんだ」 「そんなのやってみなきゃ分かんないですよ」  頬を膨らませて応じる。  わたしたちは、花火師のたまごだ。  花火というのは『魔法星』を特殊な器に詰めて作る芸術。それを空に放ち開放することで、色とりどりの花を描くことができる、この国が誇る文化のひとつだ。 「女には向いてないから、誰もいないんだよ」 「うわっ。差別反対ー!」  譲らず睨み合っていると、のそりのそりと、熊のような大男が現れた。 「お前ら、またやり合ってんのか」  紺色のつなぎを着たこの人こそ、我らの師匠アズマさんだ。  隣国のお抱え花火師だった時期もある、天才花火師。  年齢は40歳前後だと聞いている。髪は真っ白で瞳は紫色。  ぼそぼそとした喋り方に、ようやく慣れてきたところだ。 「師匠。どうしてこんなちんちくりんを弟子にしたんですか」 「ちんちくりんって何ですか。わたしにはサラという立派な名前があるんですー」  身長が低いせいで幼く見られがちだけど、わたしは今年で15歳になるのだ。  くるくるとした金髪に、濃いピンク色の瞳。容姿は可もなく不可もないと思っている。 「俺はお前を絶対に認めないからな」
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