はらぺこな君へ

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ある日の授業中、隣の席の人同士、話し合って意見をまとめて発表しましょう、と先生から指示がありアオイ君と話す機会ができた。 「今から…15分ね。質問あれば挙手してねー」 先生が言い終わると、一気に教室が騒がしくなり話し合いがあちこちで始まる。 私の隣の彼はもちろん寝たままだった。 「あの…アオイ君、話し合いだって。」 アオイ君の肩をトントン叩いて起こした。 「ん…。」 顔を上げたアオイ君はまだ眠そうで、ほっぺにはくっきりとシャツの皺の跡がついていた。 でも私の顔をちゃんと見ていた。 「…じゃあ、私の意見から言うね。」 見られていることを意識してしまって少し緊張しながら考えた意見を言うと、アオイ君はあっさりと「じゃあそれで。」と言った。 まぁ授業聞いてなかったし、アオイ君の意見は期待していなかったけど。 「私の意見でまとめるなら、発表はアオイ君してよ。」 私がそう言うとアオイ君はあからさまにめんどくさそうな顔をした。 「えー、…わかった。」 そんな顔をしても発表はしてくれるのね。 絶対「やだよ」とか言うと思ったのに。 アオイ君は少しだけ姿勢を直して、私が言ったことをノートに書き始めた。 うわ、すごく汚い字。でも手が綺麗。指が長くて爪が大きくて、マニキュア似合いそう。
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