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「あれ?あと何て言ったっけ?」
急に顔を上げたアオイ君と私の顔はものすごく近かった。
私がアオイ君の手元を覗き込んでいたからだ。
やば。
私が慌てて離れたその時…
“ぎゅるるるーーーー”
思いっきりアオイ君のお腹が鳴った。
これは、
さすがに言っていいよね?
アオイ君も恥ずかしそうな顔してるし。
言わないのは逆に不自然だよね?
「アオイ君っていつもお腹鳴ってるね。」
アオイ君は間を置いて言った。
「…いつも時間なくて朝飯食ってないから」
「へぇ…家、遠いの?」
「別に遠くないけどギリギリまで寝てる。」
それなのに授業中も寝てるの?どんだけ眠いの?
「夜、何時に寝てるの?」
「2時とか4時とか…」
「4時?それもう朝じゃん!」
「…うん。」
アオイ君は少しウザそうな顔になった。
えっと…私はそんなことを言いたかったんじゃなくて…
私はここ数日、ずっと計画していたことを実行に移した。
「あのね、アオイ君、私、今日間違えてお兄ちゃんのお弁当持ってきちゃって…おにぎり一つ多くて…。アオイ君、食べる?」
アオイ君はキョトンとした顔で私を見ていた。
お兄ちゃんのお弁当なんて、もちろん嘘。
アオイ君のお腹が毎日鳴っていることに気づいてから、私はいつかこのはらぺこ男子のお腹を満たしてあげたいと思うようになっていた。
チャンスがあったら渡そうといつもおにぎりを一つ作って持ってきていた。今までは渡せなくて家に持ち帰って自分で食べていたんだけど…。
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