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そういえばアオイ君、初めておにぎりを食べた時、一度固まってた。
アオイ君って実は気を使う人だし、無理して食べてくれてたのかな?
私が楽しんじゃってるから断ることもできずに食べ続けてくれたのかな?
うわ
私、すごい迷惑なやつじゃん。
申し訳なかったり、恥ずかしかったりする気持ちをなんとか切り替えて教室へ向かった。
すでにアオイ君の周りに男子達はいなくて、奥野君も前を向いていた。
2時間目が終わると、アオイ君が私に言った。
「おにぎりは?」
「あー、ごめん、忘れたわ。」
アオイ君と目を合わせず、でもなるべく普通に言った。
というか、今日はアオイ君のことを見られなかった。
「…そう。」
アオイ君はまた机に突っ伏して寝始めた。
そして三時間目が始まるとやっぱりお腹が鳴っていた。
その日から私はおにぎりを作るのをやめた。
次の日までは聞いてきたアオイ君もそれからはおにぎりは、と言わなくなった。
ーおにぎりを作る→
←おにぎりを貰うー
の関係は無くなり、互いの矢印は消滅した。
でも隣の席だから、授業でペアになったり、日直も一緒にだったり。
私は普通を装ったけど、無理をさせていた申し訳なさでなんとなくアオイ君と話し辛くなっていた。
「今日の日直誰だー?」
六時間目が終わった教室で担任の大声が聞こえた。
私は手を挙げた。
もう一人の日直であるアオイ君は隣で寝たままだった。
「これ3枚ずつ留めといてー」
どさりと置かれたプリントの束とホチキスを見て辟易した。
これって日直の仕事かなぁ…。
日直のほとんどの仕事は私が終わらせていたけど
これはさすがに一人はきつい。
アオイ君を起こして一緒にやってもらうことにした。
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