はらぺこな君へ

7/8
前へ
/8ページ
次へ
放課後の教室で、アオイ君と二人プリントをホチキスで留めていく。 何人かいた生徒もそのうち居なくなり、ついに私たち以外誰も居なくなった。 …気まず。 早く終わらせて帰ろう。 プリントを3枚集めてストンと立てて整えて、 ホチキスをカシャンと打つ。 ストン…カシャン ストン…カシャン 静かな教室で二人が作業する音だけが響いていた。 すると、アオイ君がホチキスとプリントを置いた。 え、なに? 不思議に思いながらも敢えてそのまま作業を続けた。 「…ねぇ」 その声に顔を上げると、アオイ君はじっとこっちを見ていた。 「なんで最近おにぎり作ってくれないの?」 「…それは、作るの忘れちゃって…」 「忘れるわけなくない?」 そうだよね、今まで作っていたのに急に忘れるのちょっと無理があるよね。 この際、ちゃんと謝ろうと、正直に話した。 「だって、気持ち悪いでしょ?他人が作ったおにぎり食べるの。私そういうの全然気づかなくて…。無理させてたのかなって、」 「……あぁ、奥野の、あれか。」 私がなぜそう思ったのか、アオイ君も気づいたようだ。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加