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私に絶望が訪れたのは、その日のお昼休みだった。
「美羅!翔也先輩が体育館裏に呼び出されたって!しかも一年生で一番可愛いって噂の井沢美織だよ!?」
茉李の興奮した声は、耳を塞ぎたくなるくらい大きい。
「それが何?」
「何って、この展開は告白しか無いでしょ!?」
「告白!?お兄ちゃんが!?誰に!?」
「だから!一年の井沢美織だってば!美少女ナンバーワンの井沢美織!」
「はあ!?」
驚きとショックで言葉が出なかった。まさか恐れていた事が現実になるとは……。
無意識に立ちあがり、体育館裏に走ろうとする私の腕を茉李が掴んだ。
「ちょっと、どこ行くの!?」
「告白なんかさせない!邪魔してやる!」
「あんたブラコンも大概にしなさいって。こんな小姑が居たら先輩一生彼女できないよ?」
それは願ってもない。寧ろ大歓迎だ。
「絶対に嫌!お兄ちゃんに彼女なんて認めないもん!」
「やめなさいってば~!」
茉李との必死の攻防虚しく、お昼休み終了のチャイムが鳴った。
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