24人が本棚に入れています
本棚に追加
/136ページ
1. サクラ
「あの震災からもう27年も経ってしまったんだね」
とベッドに横たわっている君のそばで
そっとつぶやいていた。
窓からは春の優しい風がながれ、
カーテンが揺れていた。
もうすぐ桜の季節、窓から見えるあの木も
きっと綺麗な花をさかせるんだろうね…
「心地よい風だね、大丈夫?寒くないか」
と、たずねると目はとじたまま、
ちいさく美佳はうなずいた。
きっと窓からの日差しが眩しいんだろう
うっすら目をあけて外を眺めて美佳も
27年前の事を思い出していた。
最初のコメントを投稿しよう!