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ディアンドルの小ぎれいな服をすすで汚して、白い雪のような肌も何かで黒く汚れてしまっていた。美しい薄い金の髪を振り乱して、何か荷物をドサリと地面へ置いていた。その少女にレイヴァンとエリスが駆け寄る。
「マリア様!」
レイヴァンに名を呼ばれ、少女ことマリアは声の主を振り返った。
「げ」
美しい少女からは、想像も絶するほどの汚い声が漏れた。本来は、可愛らしい声であるのに二人の姿に驚いたのと、何かを言われることが明白であったため、そんな声が漏れた。
「何ですか、その『げ』っていうのは。まったく、あなたという方は、残党がまだうろついているかも知れないというのに」
レイヴァンの言葉にマリアは、気まずそうに目をそらして「人違いです」と呟いた。レイヴァンは、頭を抱えそうになったが何とか耐えてマリアの腕を取る。
「戻りますよ」
「ええ!? 大丈夫よ、クライドも一緒だもの」
マリアが叫べば声が聞こえたのか、町人と何やら話をしていたクライドがこちらへ駆け寄ってきた。
「お迎えですか」
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