ペルセウスは限りなく遠い所にある星を探し求める

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イベントの申し込みを済ませ、お直ししたスーツも受け取ったと言う事で、学校の家庭科室でお直ししたスーツの調整に入る 「どうだ?」 うーん… どうしても…女性と男性で骨格は違うから… 「肩パットをもう少し入れて、肩を強調させましょう、男らしいシルエットになります 後、女性は生物学上の関係で、腰回りがハの字…つまり広がっているんですね、男性は平行なので、腰の部分をなるべく見えないように、ジャケットのボタンは全開にして…」 スーツの微調整をして、スーツの肩パッドに厚みを出す為に、肩部分を切って縫っていた中目黒さんから 「痛っ!」 と言う声が聞こえた 中目黒さんは眉をハの字にし、口をへの字にさせて、悲壮感の漂う顔 「大丈夫ですか…? もしかして、指刺しました?」 通学カバンのリュックからポーチを取り出す 「…絆創膏、どうぞ」 「あり…がとう なんでも持ってるんだな!」 「女装する時は、細かなもの持ちます 会場で衣装トラブルとか、結構あるので…」 ふと、中目黒さんが縫っていたスーツを見る 「…なんですか、この縫い方… 仮留め…?」 「… 仕上げ…だけど」 いや、どんだけ不器用かよ 「僕が縫いますね…」 「え… わかった… そいやさ、白楽はどんな衣装でイベ行くんだ?」 「僕ですか?」 僕は… 前回と一緒の衣装でいいか… ヅラだけ変えて行こうかな… ロングの栗色巻き髪で 「これでいきます」 携帯で、前回撮影してもらった写真を見せた 「おお! すっげー可愛い!やっぱいい女だよ!綺麗… そそられる」 そそられるって…なんだよ… 変態おやじみたいな言い方すな 週末 あっという間にイベントの日が訪れて、会場に着き、ロッカーに移動して着替える ロッカーを出ると、すぐに中目黒さんがいた ビシッと決まった真っ黒く、襟元、袖元に光沢のあるスーツ 金色の八つボタンが、ナポレオン風ジャケットのデザインと合っている 王子様って感じだ 「白楽… すげー綺麗だよ… お姫様みたいだ!」 「ありがとうございます」 「…喋ると…男だなあ! なんかさあ… 可愛い格好して、女の子の見た目なのに 声が太くて、低くて、男の声でさ 男を見せられた瞬間って言うの!? 俺、そう言うギャップに弱すぎるから、性癖に刺さりまくるぅ!!」 うわ… 「逆も然りでさあ! スーツビシッと決めて、男の見た目なのに 声が軽くて、高くて、女の声で「ちょっと落ち着いて、中目黒さん…」 「え?」 「せっかく素敵な男装してるんですから、紳士な振る舞いでいきましょう」 「お、そうか… わかった! じゃあ行こう!」 「あ、ちょっと… 少し目を閉じて下さい」 「え?」 素直に瞼を閉じた中目黒さんの、目の下に落ちていた、マスカラに塗られた太いまつ毛を取る 「まつ毛が、ついていました …うん メイクも上手です 素敵ですよ」 中目黒さんの顔周りやスーツなど…全体を眺めた 「おおっ! そうか!? ありがとう! 新様も 素敵だって…思ってくれるかな!?」 「…そう、ですね」 「そっかそっかあ…! じゃあもう行こう!」 「…あ 中目黒さん!ちょっと」 「んだよ! 早く行こうぜ!」 「白楽って僕の名前、ここでは言わないでくださいね」 「わーた、わーた! もう早く行くぞ!」
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