ペルセウスは限りなく遠い所にある星を探し求める

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「おはよー」 「おはー」 クラスの人が挨拶を交わしている声を聞きながら、小説を読んではいたが、文字が全然頭に入って来なくて、意識が浮く 昨日は焦った… 完全に目が合ったよな… あー…どうか、神様 今後は昨日みたいな事が絶対ありませんように!! そう思っていると、肩を誰かにトントン、と二回たたかれた 振り向くと、そこには… 「昨日振り!」 な…中目黒美恵さんっ!! 思わず立ち上がってしまい、彼女から一歩引く 「昨日、白楽さあ」 クラスのみんなの視線が、僕らを見ている気がした 「ちょ…ちょっと来て下さい!」 「え?何だよ?」 中目黒美恵さんは立ち止まって抵抗?をしているようだったが、思いのほか彼女の力は弱く、僕はあっさり、廊下の隅の行き止まりになっている場所まで引っ張って来た 「教室で人が沢山いるのに、いきなり何なんですか!」 「何なんですか…って、昨日」 「昨日!?会いましたねえ!!イベント会場で! どうせ僕の女装癖をばらすんでしょう!?あいつ女装してキモいって! 僕は全然構いませんよ!? 問題児が言っている事など、みんな聞く耳持たないし、信じないですからね!」 「は…?」 「あのですねえ… 僕は、学校で目立たず、地味に、慎ましやかに、穏便に、学生生活を送りたいんです なので、今後僕に話しかけないで下さい 特に、教室やクラスとか、人が大勢いる場所で! 問題児と絡んでると、僕まで問題児扱いされて、先生たちの評価が下がるんですよ!」 「そーかよ… さっきから問題児、問題児って… 悪かったな もう、話しかけねーよ!」 彼女はそう言うと、俺に何かを投げて去っていく 「これ…」 それは、昨日僕の身に着けていた なくしたと思っていたグローブだった お昼 午後は頭髪服装検査 僕は学校の規則にはしっかり従う、目立たない地味生徒だから問題なくクリア が 「なんで脱がなきゃなんねーんだよ!」 ついさっき、聞き覚えのある声に、廊下を見る うわぁ… やっぱり…中目黒美恵さんだ… まぁたトラブル起こしてるよ… とは思ったが、なんとなく彼女と先生の言い合いを、ぼんやり眺めた 「ジャージを履くのはダメだから脱げって言ってるんだ!」 「ウザ! もう、いい!こんな学校…」 気付いたら 僕は 中目黒美恵さんの手を引っ張って 走ってその場を逃げていた 先生たちが後ろで何か言っていたんだけど 僕は 中目黒美恵さんの手を引っ張って走る事で、精一杯だったんだ 「問題児になりたくないんじゃないのか…?」 横で一緒に走る彼女が言う 問題児…か 「これで、僕も問題児、ですね」 「なに…それ なんで俺を助けた?」 「いや… さっきは、ごめんなさい 勝手に勘違いして、中目黒…さんを怒らせてしまいました」 「っはあ… もういいよ…」
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