ペルセウスは限りなく遠い所にある星を探し求める

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「はー…? なんかよくわかんねーけど…」 と、中目黒さんは言って、耳をほじりだす 「才能がある、ないって自分で決める事じゃないと思うぞ」 思わず、中目黒さんを見た 自分で決める事じゃ…ないって… 「俺は、あの会場で女装してた白楽と会って… 綺麗だと思った! あの会場で、輝いてた!!」 「っ… そんな大袈裟な… 止めて下さい」 煽てられたところで… 「大袈裟なんかじゃない! 輝いて見えたんだ!」 「っ… そう…ですか…」 「俺がいいと思ったんだから 白楽は、そう言う自分に、もっと自信持てよ」 自信… 「ありがとう…ございます…」 と言ったところで、ふと気付いた 「…ところで あの日、なんであのイベント会場にいたんですか?」 「えっ… ああ、推しの写真撮るために決まってるだろが!」 え… 「見ろよ!イケメンだろー! 俺の、新(しん)様!」 新様? 中目黒さんは携帯を見せて来た 画面には真っ黒いスーツを着た黒髪の、イケメン 確かに… かっこいい… けど… なんか… なんか この人… 「はー! 俺の推し、やっぱりいい男!」 「え…この人… 女…ですよね?」 「そうだな! なんつーかさあ… 女が男の格好してるって言うギャップに萌えるんだよな… 男装女子…って言うやつ?」 え… 「逆もしかりでさ 男が男の娘の格好してるって言うギャップに萌えるんだよな… 女装子…って言うやつ? でも、ニューハーフとか、おかまとかが好きなんじゃねーんだよ! ほぼ女の子にしか見えない、可愛い男の娘が好きなんだ! わかるか!?なあ!この気持ち!!」 うわっ 興奮し過ぎだろ… 「ただこれはすごい勝手な言い分なんだけど、そう言う女装子は、同性を好きでいて欲しい願望があるんだよ! つまり、女装した男は女を好きではなく、男を好きでいて欲しいんだ で、男装女子も同じでさ、女を好きでいて欲しいんだよ 寧ろ、俺を好きでいて欲しい! わかるか!? 女の見た目をしている男の、男が好きと言う、男の見た目をしている女の、女が好きと言う、性的指向 ギャップがあるのに、それを裏切らないって部分が好きなんだ!」 わかる 僕も 女の格好をした自分に、快感や興奮を感じる 変態だから けど 僕はあくまでも、趣味、嗜好として異性装…つまり、男性が女性の恰好を、女性が男性の恰好をする事をしていて 男として女の恰好をしていると、自認しているし 女の格好をした自分が好きと言うだけで 恋愛対象に異性装をしててもいいけど、求めているわけでもないし 残念だが、性的指向は異性が恋愛対象だ でも彼女は… 『寧ろ、俺を好きでいて欲しい!』 「その新…様って人の事 恋愛対象として好きって事ですか?」 「…まあ 好き…なんだろうな…」 楽しそうに笑顔だった彼女は、俺の質問で急に真顔になって、空を見上げ、そう言った 「ガチ恋キモイって思われても…いいけど 彼女の事を見て…胸が高鳴って…ドキドキするのは…彼女だけだから 多分 好きなんだと思う 恋愛対象として」
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