ペルセウスは限りなく遠い所にある星を探し求める

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「っはは! って、何言わすんだよ、白楽は!」 中目黒さんはそう言って、僕の腕を叩いてツッコミを入れてくる 「いいと思います そういう性癖と言うのか、嗜むと書く方の、性的嗜好でも 女性が女性を好きでも ガチ恋でも 法を犯したり 人に迷惑をかけない範囲なら それが、あなたと言う人間なんだと思いますし」 中目黒さんは僕をまん丸い瞳で見る 「引かないんだな?」 「一応、女装子なんで…」 自嘲しながら笑った 「そっか っはは、それもそうだな! 白楽もキモい性癖持ってるもんな!」 「一緒にはしないで下さい」 「まあまあ…」 「僕はキモい性的嗜好ですけど!あくまで、指し示すと書く方の、性的指向は異性が好きなので同じではないです」 「はいはい でも、昨日… 白楽に会って…白楽の性的嗜好を知って…よかったかも」 「え…」 「俺の性癖…まあ、性的嗜好って、理解されないものなのかなって思ってたりして… 今まで人に言った事はなかったし 心に、留めていただけだった ガチ恋してんのも…キモいって思われるから、推しが好きとは周りに言うけど…推しを割と本気で好きだって、真面目に言ったことはなかったんだ でも、白楽には…自然に、さっき言えて… 初めて人に言ったよ」 「そう…ですか…」 と言ったところで チャイムが鳴り響く 「って! 中目黒さんの性癖聞いてたら授業終わっちゃったじゃないですか!」 「授業って言っても自習だろ?」 「自習も授業ですからね…? 次の授業早く行きますよ!」 「はぁー…?授業ぉー…? 次なんだっけ」 「知りませんよ!中目黒さんの次の授業なんて!コース違うんだから! とにかく、教室戻りますよ!」 「でも俺、制服…着替えてないし 先生にまたなんか言われたらウゼーから、今日はもう帰「早くトイレで着替えて来て下さい!」 「…っはは! なんだよ白楽… はいはい、わかったつーの!」 「何…笑ったんですか…?」 「別になんでもねーよ!」 それからと言うもの… 中目黒さんは、僕を見かけると…いや、見かけなくても、連絡をして来て 僕に話しかけてくるようになった 「なあ、推しに近付くには…どうしたらいいんだろうな?」 「朝からすごい物騒な事言いますね それストーカーですか?」 「ちっげー…けど…そうなるのか? いやぁ…なんて言うか…推しの事は好きなんだよ、愛してるんだ、ラブ!って感じ でも、その… もっと、俺を推しに認識してもらいたいんだ!」 出たよ、ガチ恋… 「はー… まー…そーですねえー… まずはお友達になってみては?」 「お友達…?」 「そうです ガチ恋してるのわかりますけど、向こうは、中目黒さんをいちファンとしか認識してないんですから、言ってしまえばモブなんですよ、わかりますか?その他、ですよ そんな状態で、いきなり恋愛対象に入り込もうなんて、無謀なんです 向こうは、無の状態なんだから 段階を踏めって事です まずはその領域を一歩出る事から始めたらいいんじゃないですか?」 「つったって、友達になんかどうやってなんだよ!激ムズ!」 「幸い…と言っていいのかあれですが、中目黒さんは推しと同性なんですから、お友達までは割とイージーだと思いますよ … 中目黒さんも男装したら…?」 「え…」 「敵を知るにはまず己から 己を知れば百戦殆からず、と言うでしょ」 「…何それ」 「孫子の言葉です 中目黒さんも男装して、イベント参加して、そこで仲良くなればいいんじゃないですか?」 「そう言うことか! じゃまずは、次に何のイベント参加するか、推しのSNS見てチェックしないとな!」 ナチュラルにネトストなんよな… 「あ! 白楽も一緒のイベント参加しろよ!」 「はあ…? なんで僕まで中目黒さんに付き合わないとならないんですか…」 「なんでって、白楽女装してるんだし「っちょっと!!」 慌てて中目黒さんの口を片手で塞いて、耳元に近寄り、辺りを見ながら小声で話す 「声が大きいですから… …わかりましたから、クラス…学校では女装の話は秘密にして下さい…」 「いや…白楽のが声でけぇじゃん…」
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