深海のくじらは夜空を眺める

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「みな 早速だが、聞いてもらえるか」 部長と副部長が変わって、初めての部活 反町くんが、私達部員に開口一番そう言った 「文化祭の最終日 一、二年の部員に、三年の先輩方が激励の言葉をかけてくれたと思う それに対する、我々後輩の…先輩を送る言葉を伝えたい、と つまり 演劇部を引退する三年の先輩方に対し、「三年生を送る会」のような場を設けたいと思ったのだが、みなの意見を聞きたいと思う どんどん発言をしてくれたまえ」 三年生を…送る会… 先輩たちが引退した時にみんなで言っただけじゃなく…改めてそう言う会を開くって事…? 反町くんの…独断…なのかな… 「はいはい~っ! うちら演劇部だからぁ… なんか演劇部っぽいことして、先輩たちにサプライズしたいで~す! 例えばモニタリングとかぁ~、お題を設けて先輩たちの様子をモニタリングして、柘榴達がツッコミするみたいな? 後は定番、ドッキリとかぁ~!」 「それ何処が演劇部っぽいわけ? 柘榴がしたい事じゃなくて…?」 「あっ! てへへ~、バレちゃったぁ~?」 「はあ…ほんとに柘榴は…」 意見が出る中 深呼吸をして、腹に力を入れて声を出す 「…だったら! フラッシュモブとか…いかがでしょうか…? フラッシュモブは、ネットとかで不特定多数の人に呼びかけ、対象の場所に集まり、歌やダンスをゲリラ的に行い、そのまま解散していく、と言うのが本来の姿であるようですが 今回の場合は、何処かに先輩たちを集めて 部員全員が先輩に贈る言葉をミュージカルにしながら一人一人歌っていき、先輩たちに贈る言葉をお伝えする… 何のミュージカルかは、後で考えるとして… とか言うのはどうでしょうか!?」 部員みんなの目線が…一気に集まる中 ドキドキしながら… 声を張りながら、言った言葉 でも、恥ずかしさより 反町くんに、私の意見を伝えたい気持ちの方が勝ったんだ… 「おおー!それいいかも! フラッシュモブ動画ってプロポーズとかで人気だけど、それってイエスって言わざる負えない空気感があるから、不向きだよな、なんて思ってたけど、こう言う場合なら返事もいらないし、向いてるかもな!」 「なるほど 代官山くんのその企画、いいと思う」 反町くん… 「他に、意見のあるものや、案があるものはいるか?」 「いいと思うよ、代官山さんのやつで」 「え…」 「うんうん、さんっせいだよぅ!」 「いいんじゃないかしら?」 「異論なし!」 「あっ…みなさん…」 「では、代官山くんの内容で進めて行こう」 「あの~、すみませ~ん… もし冬休み前が決定なら、期末がしんどそうだから、私はちょっと…」 「僕も…」 「強制ではないから、勉学を優先する者は優先すべきものを スケジュールは今一度調整するとして、もしそれで参加出来るようなら 参加する者と共に、三年生を送る会をしよう」 「「「おー!」」」 私の意見が…採用された… 反町くんが… 賛成してくれた… 「代官山くん、ありがとう」 部活終わり 帰ろうとしたところで、反町くんが声をかけて来た 「そんな…私は…たいした事は…」 「何を言う 代官山くんの着眼点は素晴らしいではないか 誇るべき才能だ」 素晴らしい… 誇るべき…才能… 「ぁ…あ、ありがとう…反町くん…」 笑顔の反町くんにそう言って貰えると… すごく、嬉しい… ミラはくじら座の、心臓 あなたに一喜一憂する変光星
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