ペルセウスは限りなく遠い所にある星を探し求める

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仕上がった中目黒さんの顔は、すっぴんよりも、メリハリが出て… 自画自賛…だけど 綺麗 眉毛と目元 化粧するだけで、変わる 瑞々しい花のように可憐で でも凛として男らしく そこはかとなく、色っぽくて 華やかな、雰囲気 「うおーっ 結構、化粧で人って変わるもんなんだな 化粧も、してみると案外いいなあ!」 鏡を見つめる中目黒さん 「そうですか 気に入ったなら…よかったです 綺麗…ですよ」 中目黒さんは唐突にこちらに振り向いて 「嬉しいっ! ありがとな、白楽!」 花が咲いたように、笑った 「え… あ… まあ… はい…」 何故か 中目黒さんを急に直視出来なくなって 目を逸らしてしまったんだ ビルを出て どこからどう見ても、ご機嫌に もうステップでも踏んでしまうんじゃないかと言うくらい、軽やかな足取りで歩いていた中目黒さんを後ろから眺めていたら 満面の笑顔で振り向いて、僕を下から覗き込むように上目遣い 「なあ、白楽!」 「な、なんですか…?」 「新様も 綺麗って… 思ってくれるかな!?」 車のクラクションが、耳に響いて 流れて溶けた 新宿の喧騒が 洪水のように耳介に入り込んで来る 「あ…、ああ… まあ、…そうだと思います…」 「そっか! そっか… よかった…」 俯いて 嬉しそうに はにかんだような…顔 「なんか腹空いたなあ… 飯食いに行かね?」 駅に着くくらいの時に、中目黒さんが言った 「え… まあ、いいですけど…」 と言って、携帯を見る あ、もう昼過ぎなのか… セレクトショップ以外に、化粧品買って、化粧もしたからな… 結構、時間が経ってしまった 「なあ、せっかく新宿来たならさ! 俺、美味いところ知ってんだ! 行こう!」 と、中目黒さんに連れられて 新宿西口の大ガードをくぐり、たどり着いた場所 「つけ麺…?」 「おう! ここ都内に複数店舗あってさ、新宿のこの店は総本山、本店なんだよ! 店舗によって味とか違うんだけど、新宿は魚介豚骨系でさ、魚粉と煮干し出汁が太麺に絡んで最っ高に美味くて!チャーシューもゴロチャーでさ、肉厚で食べ応え抜群で!カウンターにだし汁あって、最後つけ汁にそれ入れて飲むんだけど、またそれも美味くてさあ!」 うわ… 急に饒舌じゃん… なんかデジャヴなんですけど… 「わ、わかりましたけど… 並んでますよ?」 「そう…なんだよなあ! 毎回並んでんだよ… …よし、他行こうぜ!」 えっ… 「ここまで来て…行かないんですか?」 「ふっふっ… 他にも美味い店、あっから!」
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