春に触れる。

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病院から家まではバスで15分くらいやねんけど、バスは乗るのに100円かかるねん。 30秒くらい500円玉とにらめっこしてから歩いて帰ることにした。 歩くのそんなに嫌いじゃないしな。 初めはめっちゃ寒かったけど歩いているうちに体も暖かくなってきた。 人間の体ってすごいな。って思った。 もし私が南極に取り残されたりしたら、一日中走り回ろ、そしたら体も暖かくなって生き延びれるかも。でも、止まったら寒くて死んじゃうんやろうな。なんか、そんな魚おったよな、泳ぎ続けるみたいな、あれなんやっけ。 そんなことを考えながら歩いてたら私が通ってる東小学校が見えてきた。 東小学校から私の家までは10分くらいやからもうあとちょっとで家や。 そう思うと少し疲れてた足も一気に回復してスキップしながら口笛吹いてみた。 学校の前通るなら今日返す予定やった本持ってきたらよかったな。図書室は借りた5冊を返すまで新しい本を借りられへんからな。 私が立ち止まって目を凝らした理由は、20メートル先くらいに見たことある人が立ってたからや。 それはシュンで、正門の向かい側に立ってた。 わたしはちょっと嬉しくて「しゅーん」って叫んでもうた。 シュンは初めて会った時のように驚いた顔をしたけど、さすがに「うわっ」とまでは言わんかったわ。 わたしはシュンがおるとこまで走った。
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