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運び屋とJK
生きていれば、色々なことがある様で、つまりは予想できない出来事の連続だったり、どこにでもあるような退屈な日常だったり、毎日をただ楽しく過ごしていたり、夢に向かって奮闘していたり......けれど恐らく、それらはきっと、生きている人間の数だけあって、そしてそれらはきっと、実は違うように見えて、似たり寄ったりなのかも知れないのだ。
っと......
そんな様な内容の会話をラジオ越しに車内で聞きながら、あまりにも景色の変わらない高速道路を走っている俺は、『いや、そんなわけないだろ......』と思いながら、さっきのサービスエリアで買ったコーヒーに手を伸ばす。
もちろん、一瞬だけ左下に視線を動かしはしたが、それ以外は前を見る。
当たり前だ。
車の速度表は、既に時速八十キロを超えている。
しかしそれでいて、周りの車にはどんどん抜かされる。
それはつまり、周りの車は、少なくとも百キロを軽く超えているということになるのだ。
そしてそんな状況だと、停まることは愚か、速度を緩めることも許されないし、もちろん脇見運転なんかもダメだ。
もしそんなことをしてしまえば、後ろから来た車に追突され、あっという間に命を落とすか、良くて重症、救急車でICU直行コースだろう。
そんなことを思いながら、俺は後部座席の状況を見るために、自分から見てやや左上に備えてあるバックミラーに視線を動かす。
視線の先には、これから運ばなくてはならない荷物が積まれているいつも通りの光景と、いつもは存在しない、あってはならない様な光景が、同時に映し出される。
そしてそれを見て、少しばかりのため息をしながら、俺は再び前を見る。
すると、あってはならない様なその光景が、俺のそのため息に反応する。
「なに?」
「いや......べつに......」
そう言いながら俺は、その光景に対して再び視線を飛ばす。
ちなみに、俺の視線にその光景が映し出される様になったのは、俺がサービスエリアを出た後である。
つまり最初は、高速道路に乗る前は、そしてサービスエリアを出る前は、いつも通りの、荷物が積まれているだけの光景だったのだ。
視線の先には、まぁどこにでも居る様な、白いブラウスにチェックのスカート、そして胸元には紺色のネクタイを着けた少女が、スマホを操作している様で......まぁ所謂、女子高生という輩が映し出されているわけで......
いや......なんでだよ......
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