愛はいつだって君の傍

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 ***  それで、マオはどうしたのかって?  ……正直、私もおったまげたわよ。マオを連れて帰ってきた長女ったらマスクして、くしゃみを連発してるんだもの。そして、涙目になって“むり!”って叫んできたのよ。 「うううう、ま、マオはかわいいけど、むり!うちで飼うのむり!母さん、これからもマオと暮らして!!」  あの様子。何をしたのかと私が尋ねれば。マオはにんまりと笑ってこう返してきたってわけ。 「ふふふふふふ。必殺、大量抜け毛攻撃をお見舞いしてやったぜ。あの女に軽い猫アレルギーがあること、俺様だけは気づいてたからな!寝ている時毎晩のように大量に顔の上に毛を落とされてたら、そりゃくしゃみも止まらなくなるだろうよ!!」 「わお」 「それに加えて、奴の家のトイプ―に協力を要請した。俺様と犬猿の仲ってやつを演じてもらったのさ!毎日毎日、奴が家事をしてる時もテレワークしてる時も関係なく二匹でぎゃーぎゃーと喚き続けてやった。むしろよく一週間もったもんだぜ!」 「……あんた、マジですごいわ」  なんという計画性と執念。あっけにとられる私の背中に、よいしょ、と登ってくる黒猫。さっそく犬吸いをさせてくれ、というつもりらしい。 「そんなわけで、これからもよろしくな姐さん!俺様、こんなかんじでしがみついてもう離さねえからよ!」 「……しょうがないわね」  私は呆れて言う。ええ、呆れたふりをしたけど、誤魔化せてないんでしょうね。飛行機耳と揺れるしっぽは正直だもの。 「仕方ないから付き合ってあげるわよ。あんたの重たい愛を受け止められるのなんか、私しかいないんだから」  愛はいつだって君の傍。  彼との騒がしい日々は、きっとまたまだ当面続く。
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