第1話 遠野みやこ

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「??」  私はその「悲鳴」がした方が見ると……。 「あ」  転校して来たばかりのころは驚いていたけれど、二年も経つとさすがに「ああ、彼ね」と慣れる。 「今日も元気ね」  そこには女の子たちが何人か集まっているのだけれど、どうやらさっきの悲鳴はその子たちのモノだったらしい。  そして、その子たちの目的は『ある男の子の応援』らしく、今。外では男の子たちがサッカーをしている真っ最中らしい。 「池里(いけざと)くーん!!」  たった今「池里」と呼ばれた男の子はチラッと女の子たちの方を見た……様に感じたけれど、すぐに視線を戻した。  私は「名前を呼ばれたのに気が付いたのなら手くらい振ってもいいのに……」なんて思ってしまう。  でも、女の子たちにとっては「自分たちの方を見てくれた」のがうれしかったのか「キャー!!」と隣にいる女の子たちの手を取り合ってまたさけんでいる。 「……」  転校したばかりのころはこの光景に驚いていたけれど、その時の同じクラスだった子から『池里(いけざと)タクミ』という子を教えてもらった。  でも、一度も話した事なければ名前と「晴れた日の昼休みにサッカーをしている」という事以外何も知らない。
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