第2話 手芸店『いやし』

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第2話 手芸店『いやし』

 あっという間に授業が終わって今は帰りの会。  コレが終わったらあとは帰るだけ……だからなのか、どことなくみんなソワソワとしている。  ――みんな早く帰りたいんだなぁ。  私はそんなクラスの子たちを見ながらボーッとしていた。 「……」  私の席は窓側の一番後ろ。  この席は先生から意外に見えやすいのだけれど、その代わりクラスのみんなからは見えにくい場所だ。  ――でも、私からはクラスの子たちの行動がよく見えるんだよね。  それこそ、早く帰ろうとソワソワしている子や先生の話を聞かずに帰る準備をしている子。なぜか本を読んでいる子……などなど意外にみんな自由だ。  ――帰った後……どうしようかな。あ、そうだ。  そういえば今日、お昼休みに洋服を直していた時に糸がいくつかの残りが少なくなっていた事を思い出した。  ――うーん。急いで買わないといけないって程の用事ではないけど……。  今日出された宿題は休み時間中に終わらせてしまったから、家に帰った後にやる事も特にない。  ――でも、それなら一回家に帰ってからお金を取りに行かないと。
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