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飛行機が離陸して巡航高度に達すると
客室乗務員がスピーカーのスイッチを入れ
鳥がさえずるような声で関西より魅惑の
韓国へのフライトへようこそと挨拶した
現在只今韓国は晴天、観光、買い物日和
チャミスルの飲みすぎにはご注意をと笑わせ
気の利いたアナウンスに乗客は拍手喝采で
文也も藤子も顔を見合わせて笑顔で拍手した
次にオレンジのスカーフを首に巻いて
紺色の美しい制服に身を包んだ客室乗務員が
文也には冷えたミネラルウォーターと
藤子にはオレンジジュースを渡した
「二時間のフライトだから
機内軽食はとらなかったんだ
向こうに着いたら何か旨いものを食おうよ」
「うん♪」
藤子が微笑んだ
しばらく二人は今日のお互いの服装を褒め合った
彼女が以前ディナーに誘った時の
服装を覚えてくれていて
今日の服装も素敵だと言ってくれたり
どんなファッションが好きかとかどこで洋服を
買っているのかと色々聞いてくれた
本当に彼女は人に良い関心を持って
会話をはずませてくれる
文也が彼女を尊敬している所もこんな所だった
お返しに文也も藤子のファッションセンスを
褒めて褒めて褒め倒した
実際彼女のセンスは女性らしくて
とても文也の好みだったので
もし自分に彼女が出来たら藤子ちゃんのような
服装をしてほしいと本音を言った
褒めすぎたのか彼女が照れて文也に言った
「・・・なんだか・・・・
今日の文也君・・・距離感バグッてない?」
藤子が頬を染めて文也に言う
「飛行機の中では垣根が消えるというからね」
「どういう意味?」
「空の上で世間から切り離されて
相手と向き合うことになるでしょ?
他にすることもないし邪魔も入らない
あり余る時間とお互いを隔てている
わずかな空間だけだから」
とそっと藤子の手の甲を人差し指で撫でて言った
「お互いにとても親密になれる」
文也のまっすぐな視線を受けた
藤子は心臓がドキドキ言い出した
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